痛風の原因は「尿酸」ですが、痛風の人は「プリン体」を控える、これは一見わかりにくいですよね。尿酸は体内でプリン体からつくられる物質であり、プリン体が少なければ体内でつくられる尿酸も少なくなる、という話になります。ここでは尿酸とプリン体がどんな物質なのか、わかりやすく解説していきます。
痛風発作は体内の過剰な尿酸が引き起こします。この原因物質の「尿酸」とはいったいどんな物質かご存知ですか?尿酸は白色・無味・無臭の物質で、細胞が壊れたり、エネルギーの代謝によってプリン体から生産された廃棄物です。
人間の体内ではこれ以上分解する事ができないので、腎臓から尿とともに排泄されます。尿酸は水に溶けにくい物質でもあるので、血液や尿の溶解度を超えて溶けきれない尿酸は尿酸ナトリウムとして結晶化します。
さらに尿酸の溶解度は、血液や尿が酸性に傾いたり、温度が低くなる事でさらに低下してしまいます。
尿酸を体内で分解できないのは、人間やサルなどの高等な霊長類と、魚類や爬虫類の一部だけです。そのほかの動物は体内に尿酸分解酵素を持っており、尿酸を分解してから体外に排泄するので痛風にはなりません。
尿酸はプリン体からできた老廃物であるとともに痛風の原因になる事から、人間にとっては不要なものと思われがちです。しかし最近の研究では尿酸が老化やガンの原因になる活性酸素の働きを抑えているとも考えられています。
その働きははっきりとはわかっていませんが、ひょっとしたら人間の長寿に関わっているのかもしれません。
プリン体の制限は必要ない!?
尿酸の原料となるのはプリン体と呼ばれる化学構造にプリン環をもつ物質で、尿酸もプリン体の一種です。このプリン体は体内で3つのルートによって作られたり、食品から体内にもたらされています。
第1のルート
細胞の核にある核酸(DNA、RNA)が分解してできるものです。核酸は遺伝子として働いたり、タンパク質の合成など重要な働きをしています。細胞は定期的に新しいものと生まれ変わっており、その過程で核酸が分解されプリン体が発生するのです。
第2のルート
エネルギー代謝の過程で生成されるものです。エネルギーの元である高エネルギー物質ATPが生命活動に使われるとADPという物質に分解されます。通常ADPはリン酸と結合して再びATPになるのですが、激しい運動などで急激にたくさんのATPを使った場合はADPがたくさんですぎてしまい、過剰のADPは分解されてプリン体となります。
第3のルート
食品中に含まれているプリン体です。従来痛風の患者さんはプリン体を多く含んでいる食品を厳しく制限されていました。しかし食物中に含まれるプリン体は腸内の細菌によって分解されてしまうものもあり、昔ほど厳しい食事制限はされないようになりました。しかしプリン体を多く含んでいるレバーやイワシの干物などは多食を避けるべきです。
尿酸はどうやって排泄される?