痛風は日本人にとって身近な病気となりましたが、痛風発作として症状が現れるのは氷山の一角であり、尿酸値が高い痛風予備軍が日本にたくさんいると言われています。痛風は恐ろしい合併症を引き起こす可能性がありますので、痛風予備軍の状況を把握しておきましょう。
日本は痛風の歴史が浅く、身近な病気ではありませんでした。しかし近年の食生活の欧米化に伴い痛風患者は年々増加し、いまや身近な生活習慣病となっています。現在日本には推定で50〜60万人もの患者がいます。
そしてその99%が男性です。痛風は男性の病気といっても過言ではありません。これと対照的なのが慢性関節リウマチで、痛風と同程度の患者がいますがその80%は女性なのです。
痛風という病気の背景には高尿酸血症があります。患者の99%は高尿酸血症ですが、高尿酸血症と痛風は同じ病気ではありません。痛風は高尿酸血症患者のうち、およそ10人に1人がかかる病気です。
尿酸とは体内でプリン体が分解されてできた老廃物です。尿酸は誰にでもあり、正常な人で1200mgほどが体内に存在します。この尿酸は通常体液に溶けており腎臓から排泄されるのですが、体液にとても溶けにくく排泄しづらいという特徴をもっています。
そのため血中濃度が7.0mg/dlまでは溶けているのですが、それを超えると結晶として析出してきます。尿酸は溶けている時は無害なのですが、結晶となると体にさまざまな悪さをします。痛風発作もそのひとつです。
3分でわかる痛風の原因
日本痛風・核酸代謝学会では、尿酸の血中濃度が7.0mg/dlを超える場合を高尿酸血症としています。この値が増えるほど、より結晶ができやすく痛風になりやすいといえます。
ある調査では痛風患者60万人に対して、尿酸値8.0mg/dl以上の痛風予備軍である高尿酸血症患者は4倍の200万人ほどおり、さらに7.0mg/dl以上のものは600万人にものぼるといわれています。なんと成人男性の100人に30人の割合で高尿酸血症があるのです。
さらに高尿酸血症患者は増加し続けているのですが、いまだ社会にはそれほど認知されていない問題点があります。高尿酸血症になってもそれ自体に自覚症状はなく、症状が出るまでに5〜10年の年月を要するため、つい見逃しがちになってしまいます。しかしその間も確実に体をむしばんでおり、やがては痛風発作という激痛に襲われます。
しかし本当に恐ろしいのは発作などではなく、高い確率で尿路結石や腎障害、高血圧、肥満、高脂血症、耐糖能異常などと合併し、腎不全や心筋梗塞、脳血管障害など生命にかかわる重篤な症状を起こす危険性があることです。
あなたも?痛風患者は96%が合併症