激痛に襲われている間は「この痛みをなくすためならなんでもする」という気持ちになりますが、症状が治まってしまうと、すっかりそのことを忘れ、痛風が治ったと勘違いしてしまいます。しかし、痛風の治療を怠って発作を繰り返すと、取り返しのつかないことにもなります。痛風発作を放置するとどうなってしまうのか、理解しておきましょう。
痛風発作が起きると耐え難い激痛に襲われます。この時はこの痛みが治まるならどんなことでもしようと思うはずです。しかし、症状は2〜3日もすればピークを過ぎて和らぎ、1〜2週間もすれば治まってしまいます。
このため「喉もと過ぎれば熱さ忘れる」ということわざの通り、治療を怠ったり放置する患者さんが多くいます。痛風治療の一番難しい点はここかもしれません。
しかし、痛みが治まっても高尿酸血症が治ったわけではないので、そのままにしておくと発作は再びやってきます。痛風や高尿酸血症の進行具合にもよりますが、治療を受けない場合は半年から1年後に再び発作が起こります。
この発作を放置しておくと、発作と発作の間隔が短くなっていき、発作が起こる関節も破壊されていきます。
やがては発作が完治せず炎症の名残が残っているうちにほかの部位で発作が起こるようになります。これが他関節炎型の痛風発作です。さらにはいつもどこかの関節が炎症を起こすようになる慢性関節炎型の状態にまでなってしまいます。
発作を繰り返し、慢性関節炎にまでなってしまうと起きやすくなるのが痛風結節です。痛風結節とは尿酸が関節部分以外の皮下にたまり、尿酸結晶を含むコブができてしまう状態をいいます。
体のどの部分にでもできる可能性がありますが、体温の低い耳や手指の関節、ひじの後ろ、足のくるぶし、足指の関節などにできやすい傾向にあります。
痛風結節をもっと詳しく
このような尿酸ナトリウムの結晶は腎臓の中にもでき、腎機能に障害を与えます。また尿酸の酸性過剰型では尿中の尿酸量が増加し溶けにくくなることから、尿路の中に結石を作るようになります。
これを尿路結石といい、もし尿の流れが妨げられると腎臓にますます悪影響を与えてしまいます。最悪の場合は腎不全にまで進行し、透析が必要になってしまいます。