食品は大きく分類するとアルカリ性食品と酸性食品に分けられますが、どんな違いがあるかわかりますか?尿酸の排泄を促すためには、積極的にアルカリ性食品を摂る必要がありますが、それはどうしてでしょうか?アルカリ性食品はどんなものか、どのような食品があるのか、正しく理解しておきましょう。
アルカリ性や酸性と聞くと、学校で習ったpH(ペーハー)を連想します。しかし、アルカリ性食品か酸性食品かの判定は食品そのもののpHではなく、食品に含まれる「ミネラル」が酸性かアルカリ性かで判断します。
つまり、リンや硫黄を含む食品は「酸性」、ナトリウムやカリウム、カルシウム、マグネシウムを含む食品は「アルカリ性」となります。
よく「酸性食品の摂り過ぎで血液が酸性になるからよくない」などと聞きますが、それは間違った情報です。酸性食品やアルカリ性食品を食べたからといって血液のpHがどちらかに傾く事はありません。
しかし、尿は食べる食事内容によってpHが変化します。尿が酸性に傾くほど尿酸が排泄しにくくなりますので、高尿酸血症の人はアルカリ性食品を積極的に摂る必要があります。
アルカリ性食品の代表的なものに海藻やきのこ、野菜があります。これらの食品は低カロリーな上に食物繊維やカリウムが豊富で、生活習慣病の予防にも効果を発揮します。ただし、結石の原料となるシュウ酸を多く含むほうれん草や青菜などは量を控えるようにします。
※上にいくほど効果が高く、下にいくほど効果が低い
尿をアルカリに傾ける |
尿を酸性に傾ける | ||
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ひじき/ワカメ 昆布/干しシイタケ/大豆 ほうれん草 ゴボウ/サツマイモ ニンジン バナナ/サトイモ キャベツ/メロン 大根/カブ/ナス ジャガイモ/グレープフルーツ |
卵/豚肉/サバ 牛肉/アオヤギ カツオ/ホタテ 白米/ブリ マグロ/サンマ アジ/カマス イワシ/カレイ アナゴ/芝エビ 大正エビ |
私たちの体内では日々尿酸がつくられており、その一方で健康な人であれば毎日約700mgの尿酸を尿や便、汗から排泄しています。
そのうちの7割を占めるのが尿からの排泄ですので、尿酸値の高い人はいかに尿から効率よく尿酸を排泄するかが尿酸値を下げるポイントとなります。
尿はもともと弱酸性ですが、痛風の人は尿がより酸性に傾きがちです。これは痛風になりやすい人が普段肉や魚介、アルコールを好んで摂取する傾向にあり、これらの食品が尿を酸性にするためです。
尿酸はもともと水に溶けにくい物質ですが、酸性になることでますます溶けにくくなり、体外への排泄が難しくなります。
尿が酸性に傾くと尿酸が溶けにくくなるどころか、尿酸の結晶が析出し、尿路結石を起こしやすくなります。事実、痛風の患者さんでは尿路結石を起こす人が20〜30%もおり、健康な人の50倍以上の発症率です。
結石ができたからといってすぐに痛みがあるわけではありませんが、結石が動いて尿路を詰まらせたり傷つけたりすることで、痛風発作に匹敵する激しい痛みや血尿に襲われます。
このような事を事前に防ぐために、尿をアルカリ性に傾け、尿酸の結晶を溶かすようにする必要があります。
ただし尿がアルカリ性になればよいというわけではなく、アルカリ性に傾きすぎると今度はカリウムの結石ができてしまいます。健康な人の尿は弱酸性であり、PHを6.2〜6.8くらいにコントロールする事が理想的です。