水分が不足すると血液中の尿酸値が高くなり、尿酸が結晶化して痛風発作や尿路結石などを起こします。そのため、水分を多く摂取して血液中の尿酸値を下げたり、尿からの排泄量を増やす必要があります。一体どれくらい水分を摂ればよいのでしょうか?
体内で過剰となった尿酸は体外に排泄されますが、その7割が尿から排泄されます。そのため、尿酸の排泄を増やすためには、尿をアルカリ化するほかに水分をできるだけ多く摂って尿量を増やす必要があります。
体内の水分量が減ると血液中の尿酸値が増加し、尿酸が結晶化して痛風発作や尿路結石などを起こします。そのため、尿量を増やす事で尿酸を薄め、より多く尿に溶かし込んだり、結晶化による障害を防ぐ事ができます。
通常健康な人の尿量は1日1〜1.5Lですが、「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン」では1日の尿量を2L確保することが目標となっています。これをトイレに行く回数に換算すると、1日に6〜8回行く計算となります。
私たちは日々飲み水や食事から水分を摂取していますが、そのうち飲み水から摂取する水分量は1日1.2Lとされています。
また、1日の尿量は1〜1.5Lであることから、2Lの尿量を確保するには通常よりも800mL程度(コップ4杯)多く水分を摂取する必要があります。
ただし、夏の炎天下や運動などで大量に汗をかいた場合は、より多くの水分を摂取する必要があります。水分の摂り方が足りないと血液中の尿酸値が高くなって結晶化し、痛風発作が起きやすくなってしまいます。
尿が○○になると尿酸値が下がる
水分の補給は一度に大量に飲むのではなく、一回当たりコップ一杯(200mL)程度をこまめに摂取するようにします。腎臓障害や心臓などの病気がなければ、水分はできるだけたっぷりと補給するようにします。
水分摂取の基本は水ですが、カロリーのない緑茶や麦茶、ウーロン茶でも大丈夫です。ジュースやスポーツドリンクは糖分を多く含んでいるため、カロリーの摂り過ぎによる肥満の原因になります。
また、果物ジュースなど果糖を多く含んでいる飲み物を摂取すると、体内の細胞でエネルギー代謝が活発になり、プリン体が大量に生成されてしまいます。
ビールなどのお酒だったら2Lは飲めるという人もいますが、尿を増やす目的でお酒を飲むことはマイナス効果しかありません。ビールなどのアルコールは利尿作用により尿量は増えますが、逆に体内の水分量を減らしてしまいます。また、アルコールには体内の尿酸を増やしたり、尿酸の排泄を抑制する働きがあるため、痛風予防の水分摂取には向きません。
季節を問わず朝食・昼食・夕食時に汁物を一品添える工夫も大切です。味噌汁やすまし汁、野菜スープなどできればアルカリ食品の野菜を具材に使うと、尿酸排泄効果が高まります。ただし高血圧症を合併している人は、塩分を控えめにして調理するようにして下さい。
水分の不足と聞くと、炎天下や激しい運動で大量に汗をかく場合を想像しがちです。確かにそのような場合もたくさん水分を摂る必要がありますが、一日の中でも無意識に多くの汗をかいている時間帯があります。
水分は一日を通してバランスよく摂取することが大切ですが、水分が不足することが予想される時間帯はより意識して摂取する必要があります。
まず、就寝中はたくさんの汗をかいて多くの水分を失っているため、起床後速やかに水分を摂る必要があります。また、就寝前も起床までの長い時間水分が摂れず、汗で水分が失われることを考慮して水分を摂る必要があります。
入浴時にも私たちは多くの汗をかくため、入浴前と入浴後に水分を摂る必要があります。いずれの場合も、喉が渇いたと感じる前に水分補給することが大切で、毎日の水分補給のタイミングを習慣づける必要があります。
痛風でもお酒を飲んでいいってホント!?