痛風といえば「ビールは禁止!」のイメージがとても強く、お酒も控えるように指導されます。ビールはどうしてダメなのか、そもそも、痛風の人がお酒を控えなければならない理由とは一体なんでしょうか?痛風とお酒の関係について、正しく理解しておきましょう。
痛風や高尿酸血症になるとアルコールを控えるようにいわれますが、それには2つの理由があります。その1つがアルコール飲料に含まれるプリン体です。
アルコール飲料には多かれ少なかれプリン体が含まれており、多く含まれている代表格がビールです。ビールのプリン体含有量は他のアルコール飲料よりも飛び抜けており、ワインの10倍以上、ウイスキーの40倍以上にもなります。
しかもビールは他の酒類よりも高エネルギーであるため、肥満の原因になってしまうなど痛風の患者さんにはオススメできないアルコール飲料といえます。ただし、ビールが一切禁止というわけではありません。ビールにはプリン体が多く含まれているという事を認識し、量を控える、プリン体の少ないものを選ぶなど意識することが大切です。
ウイスキーやブランデー、焼酎などの蒸留酒は比較的プリン体が少ないので、飲むお酒の種類を変えてみるのも一つの手です。
アルコールを控える2つ目の理由は、アルコールが体内で分解される際に尿酸が作られてしまう事です。さらに、アルコールは尿酸の原料となるプリン体の腸管吸収を促進したり、腎臓からの尿酸排泄を抑える働きがあり、お酒に含まれるプリン体以上に問題となります。
痛風といえばビールが何かと悪者扱いされますが、このようなアルコールの働きはどのアルコール飲料にもいえることで、アルコールが代謝される際に尿酸値が上がってしまいます。
理想的には痛風や高尿酸血症の人は禁酒したほうがいいのですが、ストレス発散効果や精神的なリラックス効果、また付き合いなどで飲まないわけにはいかないという人もおり難しい事です。そのような人は適量を守るように心掛けましょう。
あなたのストレスが尿酸値を上げる
お酒は1日の総摂取エネルギーの1割以内にとどめる必要があります。また、アルコールの1日の適正量は純アルコール量で約20gとされています。これは1日に飲めるお酒の量が20gというわけではなく、お酒に含まれるアルコールの重さが20gである事を意味します。
アルコール20gをお酒の種類別に換算すると、以下のようになります。
≪尿酸値を上げない許容量≫
ビール:中ビン1本(500mL )
ワイン:200mL
ウイスキー:60mL
日本酒:180mL
焼酎お湯割り:200mL
お酒は自分の飲酒量を把握できるような飲み方が大切です。一気飲みなどはお酒の量がわからなくなり、多飲の原因になりますのでやめましょう。また、1週間に1日から2日の休肝日を設ける事も、長くお酒を楽しむ上でとても大切です。
名称 | プリン体(mg) | 尿酸換算(mg) |
---|---|---|
ビール | 4.35〜6.86 | 4.96〜7.84 |
地ビール | 6.66〜16.65 | 7.63〜19.26 |
発泡酒 | 2.84〜3.83 | 3.25〜4.40 |
ウイスキー | 0.12 | 0.13 |
ブランデー | 0.38 | 0.44 |
焼酎(25%) | 0.03 | 0.02 |
ワイン | 0.39 | 0.48 |
ビールやワイン、日本酒にはアルコールのほかに糖分が含まれています。そのため、飲み過ぎれば糖分の摂り過ぎによって肥満の原因になります。その一方で、焼酎やウィスキーなどの蒸留酒には糖分が含まれていないため、ビールやワインよりも低カロリーで太らないと思っている人がいますが、それは間違いです。
アルコールには1gあたり7.1キロカロリーのエネルギーがあります。焼酎やウィスキーなどの蒸留酒はアルコール度数の高いものが多く、摂取するアルコール量も多くなりがちです。アルコール度数5%のビールと40%のウィスキーを単純にアルコール量だけで比較すると、ウィスキーにはアルコール由来のエネルギーがビールの8倍ある事になります。
もちろん、ウィスキーとビールの飲む量を単純に比較はできませんが、アルコールも体内で分解されればしっかりエネルギーになることを覚えておきましょう。
水を飲むだけで尿酸値が下がる?
アルコールには利尿作用があるため、お酒を飲めば飲むほどトイレに行きたくなります。その結果、お酒として摂取した量以上に水分が尿として体外に出て行ってしまい、体内の水分量が減ることで尿酸値が高くなってしまいます。
尿酸値が高くなれば尿酸が結晶化して痛風発作や尿路結石の引き金となりますので、お酒を飲む際は水分を意識して摂るようにしましょう。
尿が○○になると尿酸値が下がる