かつて贅沢病と呼ばれた痛風ですが、今や日本人にとって身近な病気の1つとなっています。痛風は命にかかわる病気ではありませんが、ある日突然に襲ってくる発作はもちろんのこと、合併症を引き起こすため油断は禁物です。痛風がどのような病気なのか、理解しておきましょう。
みなさんは「痛風」という病気をどのくらいご存知でしょうか?「風が吹くだけでも足が痛む病気」や「貴族やお金持ちがかかる贅沢病」といった表現はどこかで耳にしたのではないでしょうか?
そもそも日本には最近まで痛風という病気の認識がありませんでした。しかし世界的には歴史が古く、紀元前3500年のパピルスにも記録が残っているほどです。紀元前300年ごろに活躍したあの有名なアレキサンダー大王もかかっていたといわれています。
しかし日本では痛風患者の報告例はほとんどなく、1950年代でもわずか100人ほどしか報告がなかったため、日本の医療側での認知度も低かったと思われます。ところが1960年代以降、高度経済成長とともに日本人の食生活は野菜や炭水化物中心から高たんぱく、高脂肪、高カロリーへと変化し、それに合わせるかのように患者も増加していきました。
現在の日本の患者数は約60万人いるとされ、今では誰しもがかかる可能性のある、高血圧や糖尿病、高脂血症と並ぶ生活習慣病の1つといえます。
3分でわかる痛風の原因
痛風の症状としてはなんといっても激痛を伴う発作です。発作はある日突然なんの前触れもなく起こります。夜に就寝する時はなんの異常もなく、寝ているうちになんとなく足の親指などの関節が痛みだし、赤く腫れて熱を持ち、その痛みが次第に強くなって耐えられないほどの激痛となります。
こんな状態が2〜3日続き、その後次第に痛みが和らいでいきます。1〜2週間で痛みは完全になくなり、発作があったことも忘れてしまうくらいに治ってしまいます。
ただし、発作が治まったからといって治ったわけではありません。しかし、痛みがなくなってしまうと治ったと勘違いして、治療をおろそかにしてしまう人が多いのも痛風の特徴の一つです。
痛風発作を放置すると恐ろしい事に
痛風発作は炎症が治まると痛みがまったくなくなりますが、痛風の背後には高尿酸血症と呼ばれる基礎疾患が隠れており、これを何とかしない限り何度でも発作に襲われます。痛風発作で死ぬ事はありませんが、尿酸値を高いままにしておくと恐ろしい合併症を引き起こしてしまいます。
高尿酸血症の患者はほとんどが男性であり、現在は成人男性の約20%が高尿酸血症であるとされています。高尿酸血症になったからといってすぐに自覚症状が現れるわけではありませんが、10〜20%の患者に痛風発作が起こります。
また、痛風発作だけでなく、腎障害や尿路結石など泌尿器系の障害を起こすようになるほか、高い確率で高血圧や糖尿病、高脂血症などの生活習慣病を合併症として発症します。
激しい痛風発作に襲われないためにも、恐ろしい合併症を起こさないためにも、自分の尿酸値を知り、専門医の診断を受け、正しく尿酸をコントロールする必要があります。尿酸のコントロールは容易であり、きちんとコントロールしていれば痛風は恐れる病気ではないのです。
痛風を恐れる必要がない理由